公共事業 2012 3 18
書名 公共事業が日本を救う
著者 藤井 聡 文春新書
日本は、公共事業が多すぎるか。
それをグラフで見てみましょう。
過去に出版された書籍で紹介されている、
「国民経済に占める一般政府固定資本形成(対GDP比)」を見ると、
欧米諸国に比べて、日本が突出して多く見えます。
しかし、なにやら、欄外に怪しげな注釈があります。
※外国は「ナショナル・アカウンツ」2007年度版、
日本は「国民経済計算」平成16年度から算出とあります。
なぜ、日本だけ使っている統計資料が違うのか。
さらに、年度も違います。
そこで、著者が年度を同じにして、
さらに、日本も、「ナショナル・アカウンツ」2007年度版を使って、
グラフを作り直してみると、どうなったか。
日本の公共事業費(一般政府固定資本形成)は、
欧米諸国並みであることがわかります。
次のグラフを見てみましょう。
既往文献で紹介されている「主要国との道路密度比較」を見てみると、
日本が突出して多く見えます。
ただし、このグラフには、「可住地面積あたり」という条件が付いています。
著者によると、「可住地面積」とは、
人々が住むことができない森林や湿地を除いた、
人間が住むことができる地域の面積を意味する言葉であるという。
そもそも、「可住地面積」を用いるのは、
たとえば、人口や都市公園の数など、
「可住地にしかないもの」を評価する場合であることが一般的である。
ところが、道路は山間地を走ることもあれば、トンネルも橋もある。
つまり、道路は、可住地のみに作られる居住地や都市公園とは異なり、
可住地と可住地とを結ぶ「非可住地」にも作られるものである。
だから、道路のサービスレベルを論じる時に、
可住地面積を用いないのが一般的である。
そもそも、日本の可住地面積は、ヨーロッパの国々に比べて格段に少ない。
考えてみれば当たり前だが、日本はヨーロッパと異なり、
森林に覆われた山が多くて平地が少ない。
したがって、可住地の割合は、
ヨーロッパ諸国で7〜8割もある一方で、日本は3割にも満たない。
そうである以上、日本の「可住地面積あたり」の道路延長は、
必然的に高いものとなる。
(以上、引用)